webディレクター的 納品のない受託開発のすすめ
普段から、web制作のディレクションを行っている関係で、クライアントのwebサイトをどのように育てるかという事をよく考えます。
結論から申し上げると、納品という概念をなくすとweb制作は上手くいきます。
webサイトは「家づくり」に例えるのがわかりやすいです。
家づくりではまず「設計図」があってそれを元に基礎をしっかり作り、構造を作り、デザインをまとめて竣工します。
そして、多くの家庭が家を建てて終わりではなく、その家に住みながら家具・インテリアを考えたり、庭作りをしたりして、家を育てていきます。
webサイトもこれとまったく同じです。
webサイトではまず「サイトの設計図(ワイヤーフレーム)」をつくり、それを元にサーバーレンタル・ドメイン取得、使用するシステム(言語)やCMSの選定(基礎作り)、動くモックアップ作成(構造)、CSSやjavascript等でデザインをまとめて納品(竣工)します。
家と同じで作って終わりではなく、ビジネスの成長とともに、サイトに新しいページや機能を付加していきます(インテリア・ガーデニング)
このようにwebサイトも家同様、育てるものと考えると、運用の段階が何より重要になります。
はじめにwebサイトに多額の費用をかけて大きな器を作ってしまうよりは、はじめは小さく作って、ビジネスの成長とともに大きく育てるという作り方を心がけています。
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・webサイトの納品をなくすという発想
今は、スマホ必須の時代なので、webの制作単価はあれこれ要件定義をしていると、どうしても機能が膨らみがちです。
そんな中で、小さく作って大きく育てるweb制作を考える、運用を考えると、「納品」という概念がなくてもよいのかもしれません。
実際にwebサービスのグロースを重視し、納品をなくすwebの受託開発を行っている会社に「ソニックガーデン」という制作会社があります。
その社長を務める倉貫義人さんの著書「「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識”を変えるビジネスモデル」に、このような運用を重視する考え方がまとめられています。
ビジネスの成長を考えると、MVP「ミニマムバリュアブルプロダクト」、アジャイル開発、リーンスタートアップなどの言葉がwebのスタートアップ界隈でバズワードになったように、「その機能は本当に必要なのか?」という問いを絶えず行いながら、web制作をする事が大事です。
いらない機能を削ぎ落とし、なるべく作らない。残ったものがそのビジネスの純粋な価値の姿です。
その価値が、わかりやすく、ニーズがあり、従前にないイノベーションがある、突き抜けている、言い換えると「めちゃくちゃ良いもの」でない限り、すぐに模倣されてしまい、大きく成長させる事は不可能なのではないでしょうか。
webディレクターの立場から、クライアントに言われたまま作るのではなく、絶えず提案し、クライアントのビジネスの価値を露わにする事が必要だと考えています。
小さく作って大きく育てる、納品のない受託開発。これからの時代に強くお勧めします。
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